圧電薄膜共振子(FBAR)は基板上に作製可能な薄膜の体積弾性波(BAW)素子であり、水晶振動子のようなバルクのBAW素子と異なり、電極の膜厚や材質によって共振特性を制御することができる。従来のFBARの開発では、広帯域フィルタへの応用を想定し、結合係数を最大化する設計が行われるが、本研究では、低位相雑音なクロック素子の開発を想定し、Q値に特化した最適化を世界に先駆けて検討した。 Q値の最大化にあたり、分布定数回路を用いた共振特性計算プログラムを独自に開発し、これにより、有限要素法と比し、幾何変数の連続的な取り扱いと、高速な計算処理および網羅的な材料の探索が可能となった。
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