研究課題/領域番号 |
25870045
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 晴夫 東北大学, 大学病院, 助教 (40646808)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脊椎脊髄病学 / 神経化学・神経薬理学 / 整形外科学 / 中枢・末梢神経薬理学 / 神経外傷 / 脊髄損傷 |
研究概要 |
これまでの研究において、mTOR 阻害薬ラパマイシンの投与が、脊髄損傷における運動障害・知覚障害を有意に改善することを組織学的および行動学的解析を用いて明らかにした。行動学的解析では、マウス脊髄損傷モデルに対するラパマイシン投与によって、Basso Mouse Scale scoreで評価した運動麻痺が有意に改善し、さらにvon Frey test、Hargreaves testで評価した機械的刺激および熱刺激に対する後肢のアロディニアが有意に改善した。さらに組織学的解析では、ラパマイシン投与によって腰髄後角のミクログリアの活性化が有意に抑制され、p-38の活性も有意に減少し、脊髄損傷後の神経障害性疼痛が抑制されることが分かった。以上の結果は、脊髄損傷に対するmTOR阻害薬ラパマイシンの投与がもたらす、脊髄障害改善の治療効果を裏付ける重要なデータになると考えられる。これらの成果をもとに、この治療効果の分子メカニズムを明らかにするため研究を、抗炎症作用・アポトーシス抑制による二次損傷抑制作用の解析を中心に今後更に進めて行くことが可能となった。本研究によって、他疾患で既に臨床応用されているラパマイシンを含むmTOR 阻害薬を、脊髄損傷治療へ応用するための理論的根拠が明らかになると期待される。これらの研究結果は関連する国内および国外の学会にて発表し、現在論文として投稿準備中である。また次年度以降の研究内容についても順次進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のとおり、モデル作製、組織標本の作製、治療法の実施、行動学的解析(運動機能、知覚機能の評価)、組織学的解析は、全て概ね順調に進展し、それに伴い十分な成果が得られている。現在まで、明らかな研究進行上の問題もなく、そのための研究内容の変更などの必要性もないと考えている。また、次年度以降の研究についても、順調に準備を進めている。このような理由から、本研究の現在までの達成度は、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果から、mTOR 阻害薬ラパマイシンの投与が、脊髄損傷における運動障害・知覚障害を有意に改善することをが明らかとなった。これらの成果をもとに、この治療効果の分子メカニズムを明らかにするため研究を、抗炎症作用・アポトーシス抑制による二次損傷抑制作用の解析を中心に今後更に進めて行く予定である。今後も計画どおりに、モデル作製、標本作製を継続し、組織学的解析・免疫化学的解析を継続、進展することで、十分な成果が得られると考えている。また学会や論文の発表も積極的に行って行く予定である。
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