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2014 年度 実施状況報告書

脊髄損傷におけるmTOR阻害薬ラパマイシンの炎症・二次損傷抑制効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25870045
研究機関東北大学

研究代表者

菅野 晴夫  東北大学, 大学病院, 助教 (40646808)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード脊椎脊髄病学 / 神経科学・神経薬理学 / 整形外科学 / 神経外傷 / 脊髄損傷 / 中枢・末梢神経薬理学
研究実績の概要

これまでの研究で、mTOR阻害薬ラパマイシンの投与が、脊髄損傷における運動障害および知覚障害を有意に改善することを組織学的・行動学的な解析によって明らかにした。行動学的解析では、マウス脊髄損傷モデルに対するラパマイシンの投与によって、Basso Mouse Scale scoreとInclined plane testで評価した体幹および後肢の運動機能が有意に改善した。また、von Frey test、Hargreaves testで評価した機械的刺激および熱刺激に対する後肢のアロデニアが有意に改善した。組織学的解析では、ラパマイシンの投与によって、腰髄後角のミクログリアの活性化が抑制され、p-38の活性も有意に減少し、脊髄損傷後の神経障害性疼痛が抑制されることがわかった。さらに脊髄の損傷中心部において、炎症を惹起するM1 typeミクログリアを減少させて、TNF-αやIL-1β等の炎症性サイトカインの発現を抑制することが明らかになった。
以上の結果は、脊髄損傷に対するmTOR阻害薬ラパマイシンの投与がもたらす、脊髄障害の改善ための治療効果を裏付ける重要な知見になると考えられる。これらの成果をもとに、神経軸索再生やグリア瘢痕形成への影響もさらに検討して、将来的な臨床治験の実現へ向けて研究を発展させて行くことが期待される。これらの研究成果は関連する国内および海外の学会で発表し、現在、国際的な科学雑誌にも論文投稿済みである。また次年度以降の研究内容についても順次進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画のとおり、モデル作製、組織標本の作成、治療法の実施、行動学的解析(運動機能、知覚機能の評価)、組織学的解析は、全て順調に進展し、それに伴い十分な成果が得られている。現在まで、明らかな研究進行上の問題もなく、そのための研究内容の変更などの必要性もないと考えている。また、次年度以降の研究についても、順調に準備を進めている。このような理由から、本研究の現在までの達成度は、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果から、mTOR阻害薬ラパマイシンが、脊髄損傷における運動障害・知覚障害を有意に改善することが分かった。さらに、脊髄内の損傷中心部においてマイクログリア活性を抑制して、炎症性サイトカインの発現を減少させることも明らかになった。これらの成果をもとに、今後は、損傷部における細胞死抑制のメカニズムや神経軸索の保護・再生やグリア瘢痕形成への影響についても、更なる解析を進めていく予定である。今後も計画どおりに研究を進めていき十分な成果が得られると考えている。また学会や論文の発表も、これまで同様に積極的に行っていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Rapamycin Suppresses Microglial Activation and Reduces inflammation after Spinal Cord Injury in Mice2015

    • 著者名/発表者名
      Haruo Kanno, Satoshi Tateda, Hiroshi Ozawa, Akira Seigushi, Kenichiro Yahata, Seiji Yamaya, Eiji Itoi
    • 学会等名
      Annual Meeting of Orthopaedic Reserach Society 2015
    • 発表場所
      Las Vegas, USA
    • 年月日
      2015-03-28 – 2015-03-31

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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