植物の利用できる形態を有するセシウム137(可給態)量の変動に、土壌有機物の分解・無機化が与える影響を明らかにする事を目的として、土壌の実験室培養及び逐次抽出法を適用した。培養期間内で、土壌有機物吸着態セシウム137量の減少と可給性の高い水抽出可能セシウム137量の増加が確認された。一方で、土地利用の違いに起因する土壌有機物の質の違いが、水抽出可能セシウム137現存量及び生成量を制御する事が示唆された。以上の結果から、土壌有機物の分解・無機化によりセシウム137の可給性が変化し、将来的な植物―土壌間でのセシウム137動態には、土壌有機物の質を考慮に入れる必要があると考えられた。
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