研究課題/領域番号 |
25870053
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 真吾 東北大学, 教育情報基盤センター, 助教 (80567214)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クラウド / セキュリティ / 秘密分散共有 |
研究概要 |
複数のクラウドストレージサービスを利用し、秘密分散共有技術を用いることで、ユーザーが自身のデータを安全に保管することが可能なソフトウェアの開発を行った。開発ソフトウェアはDropboxやOnedriveといった広く知られているクラウドストレージサービスに対応しており、ユーザーは簡単な初期設定を行うだけで、複雑な操作を必要とすることなく開発ソフトウェアを利用することができる。開発ソフトウェアはシャミア式、ランプ式、XOR式の3つの秘密分散共有方式に対応しており、ユーザーは保存容量や処理速度など、自身の利用目的に合わせた方式を選択することができる。 また、開発ソフトウェアの性能について数値実験を行った。まず、開発ソフトウェアが対応している3つの秘密分散共有方式についてその性能評価を行い、ランプ式、XOR式がその処理時間において優れていることが確認された。ただし、これらの方式の実装においては最適化をまだ行っていないため、今後の開発によりさらなる性能の向上が期待できる。 開発ソフトウェアの全体の処理性能については、秘密分散共有処理にかかる時間と、処理後のデータを各クラウドストレージにアップロードする時間を比較し、クラウドストレージへのアップロード時間が圧倒的に大きいことが確認され、今後の研究開発において、アップロード時間を減少させる方法の開発が課題となることが明らかになった。 この課題について、クラウドストレージへのアップロード時間をより詳細に調査したところ、アップロードファイルの容量が増加するにつれ、アップロード効率が上昇することが明らかになった。この特性は今後の開発に寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実施計画における1つめの目標である、ユーザーデータの秘密分散共有処理を行い、処理データを自動でクラウドストレージにアップロードするソフトウェアの開発を行った。当初の計画ではシャミア方式、XOR方式、GFI電子割賦の3種類を秘密分散共有方式として採用する予定であったが、処理の高速化を目的とした方式はXOR方式で要求が満たされるため、処理後データの削減を目的としたランプ方式をGFI電子割賦の代わりに採用した。 第2の目標である、クラウドストレージとの安定で高速な通信を行うためのアルゴリズムについては、クラウドストレージとの通信速度を向上させるための条件として、転送ファイルの容量がある程度大きいことが必要であることが数値実験により確認された。その閾値についても数値実験により判明したため、転送ファイルの容量が閾値を超えるよう、秘密分散処理を行うプログラムを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
開発ソフトウェアの頑健性向上、および利便性向上を目的として、開発ソフトウェアがモバイル機器において利用できるよう移植を行う。対象のモバイル機器用OSはiOSおよびAndroid OSを予定している。モバイル機器用の移植ソフトウェアについては、その処理性能において制限があるため、PC上で開発したソフトウェアの全機能を移植するのではなく、保存データのダウンロード、および復元機能、またユーザーセッティングの保管機能に絞って開発を行う予定である。 また、開発ソフトウェアの拡張機能として、P2Pネットワークを用いたストレージ構成が可能になる機能を開発する。P2P通信を行うアルゴリズムとしては、BitTorrentを採用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であるため。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する。
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