研究課題
レアメタルは、自動車の排ガス浄化用触媒や固体高分子形燃料電池の電極触媒をはじめ、さまざまな触媒に使用されている。今後、排ガス規制が厳しくなることや、高効率エネルギー変換デバイスの開発が求められることは必至であり、レアメタル需要の増大が見込まれるが、レアメタルは高価であり、また、資源が極端に偏在することから供給リスクが懸念されている。CeとZrはレアメタルであるため、その使用量の削減あるいは代替材料の開発は急務である。レアメタルフリー新規助触媒の酸素吸蔵能(OSC)と自動車用の排ガス浄化貴金属触媒を併せて利用することで、排ガス浄化性能を向上させ、自動車排ガス浄化触媒に使用される貴金属の使用量を大幅に低減することが期待できる。平成26年度には、ソルボサーマル反応による触媒材料組成と形態を制御し、助触媒の酸素吸蔵能に及ぼす最適な化学組成と形態を明らかにするため、資源的に豊富でSn2+-Sn4+の価数変化が可能なSnO2に着目し、第一原理計算よりSnO2にアルカリ土類金属イオンをドープすることで、酸素脱離エネルギーが減少し、OSC性能向上に寄与する可能性を示した。また、ソルボサーマル法を用い、合成したアルカリ土類金属ドープ酸化スズは、市販の酸化スズに比べ、焼成後も高い比表面積が維持され、高いOSCを示し、特に、SnO2にSr2+及びBa2+などをドープした中空状ナノ粒子が、優れた耐熱性を示すと共に、OSCが標準助触媒より90倍も向上し、排ガス浄化用助触媒中にレアメタルであるCeとZrの使用量削減・代替が可能であることを見出した。以上の研究結果に関して、国際学会2回、国内学会2回を発表し、学術論文1報が国際論文誌に掲載された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
Applied Catalysis B: Environmental
巻: 147 ページ: 741-747
http://dx.doi.org/10.1016/j.apcatb.2013.10.007