日本海東縁部の歴史津波について痕跡調査を行った結果、山形県沿岸部でイベント性砂層が確認された。堆積年代はそれぞれ11世紀、および8-9世紀よりも後であった。砂層には汽水性の珪藻が含まれ、氾濫原堆積物とは種構成が異なることから、河川を通じて汽水域からの土砂供給があったと考えられる。津波数値解析の結果、M7.7の地震による津波の高さは5m程度であり、調査地点で砂層を形成する可能性は小さい。海底斜面崩落による津波では、海岸での高さは20mに達し、調査地点に津波が到達する。今回の研究の結果、貞観地震から150-200年経過した時点で、斜面崩壊により大規模な津波が発生していた可能性があることが示された。
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