互酬性に基づく贈与交換は北方狩猟民と動物との関係において重要な行動の基盤となる原理であり、進化的にも重要なファクターであることが研究代表者のこれまでの研究から示唆されてきた。 本研究では、動物からの贈与として獲得された肉や毛等の資源が人間社会のなかでどのように贈与分配されるのかという点に注目し、生態、社会、象徴といった側面から分析するとともに、日本と北米など地域間の比較を通じてその普遍性と多様性についても検討した。この中で、動物資源が人間社会と動物、自然環境を含めた循環のサイクルの中で一時的な預かりものとして位置づけられ、贈与交換されることで循環サイクル自体が維持されていることが明らかになった。
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