バイオインフォマティクスでVasohibin-1(VASH1)活性との関連性を疑われた分子についてVASH1誘導性Glu-チューブリン増加への影響を検討したが、その分子の発現抑制(siRNA)または過剰発現によるGlu-チューブリン増加への影響はわずかであった。したがって、この分子によるVASH1活性制御は間接的であり、VASH1シグナル経路に直接関わるものではないと示唆された。 シグナル伝達経路を絞り込むために、エンドサイトーシス様式毎の特異的阻害剤を使用してVASH1誘導性Glu-チューブリン増加への影響を検討したが、いずれの阻害剤もそれ自身がGlu-チューブリン増加を誘導してしまうため、解析結果の判断が難しいと考えられた。また、メチルβ-シクロキストリン処理によりエンドサイトーシス全般を阻害した際にはVASH1によるGlu-チューブリン増加が抑えられたため、VASH1シグナル伝達はエンドサイトーシスを介していると示唆された。 タンパク質相互作用アレイによってVASH1との結合が予測された膜分子のうち、血管内皮細胞に発現しているものについて検討した結果、直接血管新生を誘導するもの以外に細胞接着分子が多く候補に挙がったため、これらとVASH1との関係を調べた。免疫細胞染色の結果、VASH1はインテグリンと一部共局在する様子が観察されたため、VASH1誘導性Glu-チューブリン増加に対するインテグリンの必要性を検討した。その結果、インテグリン阻害剤で処理した細胞ではVASH1によるGlu-チューブリンの増加が抑えられた。 したがってこれらの結果から、VASH1シグナル伝達はインテグリンを介しており、エンドサイトーシスを必要とすることがわかった。
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