研究概要 |
ヒト疾患において、遺伝子×遺伝子あるいは遺伝子×環境相互作用の及ぼす影響の調査・解析が単一遺伝子関連解析に代わる次の研究対象となっており、もっとも重要である網羅的なゲノムワイドな探索を実施するための方法論の構築が必要とされている。莫大な数のSNPを対象とした網羅的探索は計算コストの問題も大きいが、検定の多重性、高次元の局外パラメータ、データのスパース性、等の統計的な問題から生じるパワー損失も大きく懸念される。本研究では、上記の問題を解決することで大幅なパワー向上を達成する、新たなゲノムワイド相互作用解析法の開発が目標である。平成25年度は、標準的なゲノムワイドSNPデータをそのまま利用する網羅的な遺伝子×遺伝子相互作用解析について集中的に調査を行った。高い計算コストにより、利用可能な統計手法は限られており、まずは頻用されている遺伝子x遺伝子間相互作用解析手法であるBOOST法(Wan et al. 2010, Am J Hum Genet)と加法ロジスティック回帰モデルにおける交互作用検定法について調査を行った。様々な現実のSNPデータを模倣したデータを人工的に作成し、統計手法の挙動に迫った。データの生成に用いた手法は、Ueki and Cordell (2012, PLoS Genet)で設定した数理モデル、およびUeki and Tamiya (2012, BMC Bioinfom)で利用した人工データである。特に主効果の有無と連鎖不平衡の有無の組み合わせによる偽陽性率の挙動の変化について観察を行った。さらに、想定したモデルの違いによって、手法の検出力が大きく変動することが見出された。
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