研究課題
分泌蛋白質や膜蛋白質が細胞外において正常に機能するためには、小胞体における酸化的折畳みが重要である。酸化的折畳みに障害が生じると、異常蛋白質の蓄積等がひきおこされ、それは神経変性疾患や癌といった疾患の原因になる。Peroxiredoxin 4 (Prx4) は小胞体でthiol oxidaseとして働き、蛋白質の酸化的折畳みに関与することが近年明らかとなった。しかしながら、その分子機構の詳細や生理的役割についてはほとんどわかっていない。そこで、酸化的折畳みにおけるPrx4の生理的役割を解明する目的で、我々が作製したPrx4ノックアウト(KO)マウスを解析した。これまでの私達の解析から、Prx4KOマウスは通常飼育下では顕著な表現型を示さないことが明らかになっている。そこで、蛋白質の酸化的折畳みは酸化ストレスに脆弱であるとの考えから、内在的に酸化ストレスの亢進がみられるSOD1KOマウスをPrx4KOマウスと交配することによりPrx4;SOD1ダブルKOマウスを作製し、解析に供した。その結果、野生型および各シングルKOマウスとの比較により、著しい臓器障害を観察した。また、Prx4には転写開始点が異なる2種の転写バリアントが存在するが、これまでに解析している全身性で発現しているフォームとは別に、精巣特異的に発現しているフォーム(Prx4t)に関しても相互作用する因子の検索を行い、候補因子を同定した。また、GFP蛍光タンパク質を付加した発現プラスミドを作製し、培養細胞での細胞内局在をしらべたところ、過去の精巣における細胞内局在の結果と一致して、Prx4tは主に細胞質に局在した。Prx4tを過剰発現させた細胞において抗酸化機能の亢進がみられたことから、Prx4tも全身性で発現しているフォームと同様に抗酸化機能を有することが示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件)
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