本研究では日本語における漢字・漢文を媒介とした中国語からの意味借用の起こり方と要因を明らかにした上で、その周辺現象をも見ていき、日本語における漢字・漢文訓読を媒介とした言語借用モデルを構築した。その結果、日本語には意味借用の他、形態統語レベルでの中国語からの借用形式も多く、これらの形式は定訓という社会的に定まった漢字の読み方と漢文訓読という漢文の逐語的翻訳システムに起因するものだと明らかにした。 この他、上記の調査を円滑に行うために、学生アルバイターを雇用し、現在電子化が比較的進んでいない中世の漢字仮名交じり文資料17点(約173万字)を電子化し、近日インターネット上で公開する予定である。
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