本研究では、エーテル基を側鎖に含む脂肪族ポリカーボネートを合成し、それが血小板を粘着させず(抗血栓性)、血管を構築する細胞は接着させ(内皮化能)、さらに酵素によって分解される(生分解性)材料であることを確認した。また、その過程で原料となるモノマー類の新規合成ルートの開発にも成功した。本材料は、抗菌ポリマーへの応用で赤血球への毒性(溶血性)を低減させる効果も示している。今後、「血管組織の再生に伴って分解・吸収される人工血管」への応用を軸に、生分解性・血液適合性・細胞接着性を必要とする医療デバイスへの広範な展開を目指す。
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