研究課題/領域番号 |
25870081
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
沼田 大輔 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (70451664)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / スウェーデン / ルンド / リユース / デポジット制度 / 飲料容器 / 訪問ヒアリング調査 / IIIEE |
研究概要 |
平成25年度の成果は大きく2つある。 第1に、使用済みの容器の再利用(リユース)を促進する方策について、日本でこれまでに得られた知見についての論文を公刊したことである。月刊誌 『公営企業』の平成25年11月号で、「自治体・行政におけるびんリユースの取組の検討」というタイトルで、単著で出版した。また、リユースびんに入った商品の購入の決定要因について、消費者へのアンケート調査によって検討した単著論文"Factors in determining demand for reusable glass bottles"も、Handbook on Waste Managementの一つの章としてまもなく出版する予定である。 第2に、スウェーデンのルンド大学 国際環境産業経済研究所(International Institute for Industrial Environmental Economics : IIIEE)で入手可能な情報収集を行い、ヨーロッパのリユース促進策に関する訪問ヒアリング調査を行うための具体的な計画を詳細に作成したことである。研究代表者は、平成25年11月末から、IIIEEを拠点に在外研究を行っている。IIIEEは、リユース、および、その関連で位置付けられるデポジット制度と関係のある拡大生産者責任の分野で著名な研究機関であり、そこでの研究報告の機会などを通じて、IIIEEの皆さんから様々な助言を頂き、ヨーロッパのリユース促進策に関する訪問ヒアリング調査の具体的な計画を十分に練り上げた。 日本では、ヨーロッパのリユース・デポジットは、しばしば理想とされるが、その実態はあまり把握されていない。上述の過程を経て作り上げた、訪問ヒアリング調査の具体的な計画は、ヨーロッパのリユース・デポジットの具体的な実態を把握する材料を日本に持ちかえる重要な足掛かりとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的の達成度を、上述のように判断した理由は大きく3つある。 第一に、リユース促進策について、日本でこれまでに得られた知見をまとめ、日本で手に入る、リユース・デポジットの、日本や世界の取組・研究動向を十分に把握したことである。 第二に、申請者のこれまでのデポジット制度に関する研究を、IIIEEのランチセミナーで、平成26年1月に、"Research on Deposit-Refund System"というタイトルで報告し、IIIEEの皆さんから多くの有益なコメントを頂いたことである。そこでのコメントから、平成26年度に実施する、フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニアでの、デポジット制度に関する現地調査の道を開くこともできた。なお、平成26年1月に行った研究報告では、平成23年度に行った、カナダ・オンタリオ州におけるアルコール飲料容器のリユース・デポジット制度も取り上げた。 第三に、ヨーロッパのリユース・デポジットに関する訪問ヒアリング調査の訪問先・スケジュール・調査項目などを緻密に設計し、数多くの訪問先にアポイントをとり、訪問ヒアリング調査による情報収集が必要な項目を訪問先それぞれについて精査したことである。IIIEEを拠点に授業や各種の研究会等にできるかぎり参加し、IIIEEをはじめとするルンド大学の情報網を駆使し、IIIEEの研究者との複数回の研究相談などを通じて、リユース・デポジットに関するヨーロッパの情報を徹底的に収集しつつ、調査計画を検討していった。スケジュールを綿密に検討した結果、訪問ヒアリング調査は、平成26年度に実施することにした。なお、これらの過程で、ヨーロッパの環境経済学関連の動向も把握した。また、ルンド大学のIIIEE以外の部局、例えば、ルンド大学の経済学部などにも出向き、実験経済学の観点での関連研究などについての情報も収集した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の平成26年度の推進方策は、大きく前半と後半に分かれる。 平成26年度の前半は、平成25年度に作成した訪問ヒアリング調査の具体的な計画をもとに、ヨーロッパで、リユース、および、デポジット制度が行われていると見られる国々(ノルウェー・ドイツ・フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニア・クロアチア・スウェーデン・デンマークを現状では予定している)を訪問し、いずれの国についても、リユース・デポジットの関係者(リユース・デポジットの運営機関、環境関連の政府機関、使用済み容器の回収主体、リユース・デポジットの関連の専門家・コンサルタントなど)への徹底した訪問ヒアリング調査を行う。また、現地の小売など、関連の現場も数多く十分に視察し、ヨーロッパ各国のリユース・デポジットの導入の実態について、徹底した情報収集を重ねる。そして、これらの調査で得た内容を十分に整理し、日本に帰国する直前の、平成26年9月中旬に、IIIEEのランチセミナーで報告し、本研究の調査の成果が、IIIEEの研究・教育に反映され、ヨーロッパおよび世界におけるリユース・デポジットの検討に資するものにする。 平成26年度の後半は、日本が置かれている社会制度も踏まえて、リユース・デポジットの日欧比較を十分におこない、リユース・デポジットに関する新しい知見の獲得と、それらの知見を、日本の実際の場に生かす方策を検討する。研究代表者は、平成26年9月末に、日本に帰国し、ヨーロッパでのリユース・デポジットに関する訪問ヒアリング調査の成果を、各種の研究会などで、様々に報告してとりまとめる。そこでの報告では、日本の社会制度も十分に踏まえたものとし、研究会などでのコメントも踏まえつつ、リユース・デポジットの日欧比較を論文などの形でまとめあげ、公刊することを目指し、リユース・デポジットの分野の研究の発展に資するものにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までの達成度の理由の欄で述べたとおり、ヨーロッパのリユース・デポジットに関する訪問ヒアリング調査のスケジュール等について精査した結果、ヨーロッパでのリユース・デポジットに関する訪問ヒアリング調査を、平成26年度に実施することにした。一方、平成25年度の交付申請時には、訪問ヒアリング調査を平成25年度にも行うことを予定していたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額が生じた理由の欄に述べた通り、平成25年度の交付申請時には平成25年度にも行うことを予定していた、ヨーロッパのリユース・デポジットに関する訪問ヒアリング調査を、平成26年度前期に集中的に行うことにした。よって、次年度使用額を、平成26年度前期に集中的に行う訪問ヒアリング調査で活用する予定である。
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