最終年度に注力したのはアンケート調査の実施・分析、各公立大学法人及び各大学の資料の継続収集・分析、公立大学ベンチマーキングサイト(各大学・法人間比較のためのウェブサイト)の構築である。アンケート調査は、公立大学法人によって設置されている70大学のうち、「他に同一法人によって設置されている大学がある」「開学時は既に法人化されていた」の両方に該当する1大学を除く69大学を対象に調査票を配賦し、43大学から回答を得た(回収率62.3%)。結果は、協力頂いた43大学に、各大学の回答を合わせて全体傾向を分析したものを送付した。 各公立大学法人及び各大学の資料収集・分析については、引き続き定款・財務諸表・公立大学実態調査票の収集とデータベース化を進めた。データベース化したもののうち、定款を使った分析結果は、日本教育社会学会にて口頭発表を行った(「法人化後の公立大学運営―どのように地域に向き合っているか―」)。定款の目的及び中期目標の文言を対象とした分析の結果、①9割以上の法人で法人の目的に「地域」が登場している、②定款の目的中「地域」という言葉とともに登場する言葉は「人材」「研究」「社会」「寄与」「発展」などが登場し、教育や研究によって地域の発展に寄与する姿がうかがえる、③中期目標では、第1期よりも第2期のほうでより上位の概念として「地域」が登場する、④中期目標中「地域」という言葉とともに登場する言葉の変化を見ると、「還元」が少なくなり、「育成」「強化」「担う」「取組」「学習」などが増え、上からではなく、地域とともに歩む姿勢へと変化している、などのことが示唆された。 また、3年間で収集した資料を基に、公立大学ベンチマーキングサイトを開設した。公立大学協会が発行する「公立大学実態調査票」や各公立大学法人の財務諸表を用いた比較サイトとなっている。
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