研究課題
若手研究(B)
1)典型的な病理組織像を呈するIgG4関連疾患(IgG4-RD)(N=5)とシェーグレン症候(SS)(N=5)、健常人(HC)(N=3)の口唇唾液腺を用いて、DNAマイクロアレイにより、遺伝子発現の違いを検討した。背景因子を統一するため、検体は全例女性とした。階層的クラスタリングおよび主成分分析の結果、IgG4-RD、SS、HCの口唇唾液腺における遺伝子発現のパターンは、互いに異なることが明らかとなった。2)DNAマイクロアレイの結果から、IgG4-RDとSSの間で、発現量に差がみられた発現変動遺伝子を抽出した。IgG4-RDで相対的に発現が増加した遺伝子は1321、減少した遺伝子は1320同定された(False discovery rate<0.05)。3)Gene Ontology(GO)アノテーションによる機能分類では、IgG4-RDで発現が増加した発現変動遺伝子は、細胞増殖、細胞外基質形成、臓器形成に関連するGO termに濃縮されていた。4)IgG4-RDで発現が増加し、かつ機能的にもIgG4-RDの病因・病態への関連が示唆される発現変動遺伝子を抽出し、IgG4-RD、SS、HCの口唇唾液腺を用いて、定量PCRによるvalidationを行った。Validationの結果、ケモカインであるCCL18、線維芽細胞の増殖・樹状細胞の成熟を誘導するLactotransferrin(LTF)は、SSと比較して、IgG4-RDの口唇唾液腺で有意に高発現していた。
2: おおむね順調に進展している
IgG4関連疾患、シェーグレン症候群、健常人より、必要数の口唇唾液腺を収集し、DNAマイクロアレイを行うことができた。さらに、Gene Ontology(GO)アノテーションによる機能分類解析、定量PCRによるValidationまで順調に進めることができた。
今後は、定量PCRによるvalidationで、シェーグレン症候群と比較して、IgG4関連疾患の口唇唾液腺での有意な発現上昇が確認されたCCL18、Lactotransferrin(LTF)に関して、免疫染色によるタンパクレベルでの発現解析、発現細胞の同定、in vitroおよびin vivoでの機能解析を進める。
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Mod Rheumatol
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