研究課題
若手研究(B)
今年度は、①健常人(HC)と全身性強皮症(SSc)患者由来Vδ1陽性γδNKT細胞のphenotype解析、②HCとSSc患者末梢血由来Vδ1陽性γδNKT細胞株の作製、線維化関連因子の産生解析・肺線維芽細胞株増殖能への影響を検討した。①HCおよびSSc患者末梢血由来Vδ1陽性γδNKT細胞上には、NK受容体の一つであるNKG2Dの高発現を認めた。また、HCおよびSSc患者末梢血由来Vδ1陽性γδNKT細胞はポリクローナルなT細胞受容体(TCR)レパトワを有していた。②Vδ1陽性γδNKT細胞のin vitroでの機能解析を目的に、HCおよびSSc患者より細胞株の樹立を行い、TCR刺激後の産生因子を解析した。SSc患者由来Vδ1陽性γδNKT細胞株では、HC由来Vδ1陽性γδNKT細胞に比べて、線維化関連因子として知られるCCL3産生の亢進、IFN-γ産生の減弱が認められた。さらに、これらの培養上清を用いて肺線維芽細胞株増殖能を検討したところ、SSc患者由来細胞株はHC由来細胞株に比べて、肺線維芽細胞株増殖能を亢進した。また、in vitroでの検討より、CCL3およびIFN-γの両者の濃度バランスは肺線維芽細胞株増殖能に重要であることが明らかとなった。一方で以上の結果は、肺障害合併SSc患者由来細胞株と肺障害非合併SSc患者由来細胞株との間に著名な違いは認めなかった。これらの結果より、SSc患者では、Vδ1陽性γδNKT細胞から産生されるIFN-γやCCL3等の線維化関連因子発現異常により、肺線維芽細胞増殖能への影響を介して肺障害病態に影響を与えることが推察された。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、①HCおよびSSc患者由来Vδ1陽性γδNKT細胞のphenotype解析、②Vδ1陽性γδNKT細胞株の作製、③細胞表面分子刺激に対するサイトカイン・ケモカイン産生の解析、④サイトカイン・ケモカイン産生機構の解析、の4項目の解析を予定していた。上記①、②、③の項目については、順調に進展してきた。④つめに予定していた、Vδ1陽性γδNKT細胞株からのケモカイン産生機構の解析については、現在条件検討を行っている。
今後は、間質性肺障害モデルマウスを用いた検討を中心に進めていく。当初の予定では、IL-2+IL-18によって誘導される間質性肺炎モデルマウスを使用する予定であったが、ヒトの間質性肺障害の病態に近いとされる、ブレオマイシンによって誘導される間質性肺障害モデルマウスを使用する。ヒト検体で得られたγδNKT細胞に関する知見を元に、ブレオマイシン誘導間質性肺障害モデルマウス病態におけるこれらの細胞の役割を詳しく検討していく。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Rheumatology
巻: - ページ: 印刷中