平成27年度においては,前年度までに実施したトリプルスケール非弾性材料モデリングにより得られた炭素繊維/エポキシおよびガラス繊維/エポキシ平織繊維強化複合材料のマクロ挙動を,できるだけ精度良く再現する非弾性マクロ構成モデルを構築した.さらに,得られた構成モデルを汎用有限要素解析ソフトウェアLS-DYNAにユーザーサブルーチンを用いて組み込んだ.さらに,上記ソフトウェアを用いて,実際の複合材梁構造の変形解析を実施するとともに,マルチスケール解析による参照解との比較を行い,その妥当性を確認した.これにより,本研究課題の第二ステージ(最終ステージ)をクリアしたと言える. 本研究では,航空機用複合材構造の高精度・高効率な設計開発を目指した新規BBA(Building Brock Approach)を構築することを目的としてきたが,まず平成25,26年度において,第一ステージであるミクロ・メゾ・マクロを完全にリンクしたトリプルスケール非弾性材料モデリング手法の構築,それによる繊維強化複合材料のマクロ非弾性特性の取得,および実験的検証に成功した.つづく平成27年度では,上述した通り,第二ステージである平織繊維強化複合材料のマクロ挙動を精度良く再現するマクロ構成モデルの作成,および汎用有限要素解析ソフトウェアへの組み込みを実施し,それにより複合材構造の有限要素解析を可能にした.本研究成果は,航空機用複合材構造の高精度・高効率な設計開発に資するものであり,今後さらなる工学・産業応用が期待できる.
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