研究課題
受精の前後では,膜輸送システムが受精に連動して変化し細胞内外の劇的な変化に寄与している.我々は,酵母からヒトまで高度に保存された低分子量GTPase RAB-11が,線虫生殖腺において様々な膜輸送システムに関与し,受精に連動して局在や機能を変化させることを明らかにしている.しかし,RAB-11がどのようにして局所的に活性化されるかについては明らかになっていない.本研究では,はじめにRAB-11結合因子スクリーニングを行い,RAB-11の新規制御因子としてRAB-eleven-interacting protein-1(REI-1)を同定した.これまでに,主に遺伝学的手法を用い,rei-1変異体の初期胚では,RAB-11のゴルジ体およびリサイクリングエンドソームへの局在が低下すること,細胞分裂の際にRAB-11が分裂溝に局在せず,細胞質分裂の遅延が生じることを明らかにした.最終年度は,生化学的にREI-1の分子機能を解析した.まず,REI-1がRAB-11のGDP型に強く結合するなどGDP-GTP交換因子(GEF)の特徴を有することから,RAB-11に対するGDP-GTP交換効率を調べたところ,REI-1はRAB-11に対して強いGEF活性を示し,この機能はヒトホモログでも保存されていることが明らかになった.また,REI-1のGEF活性はリポソームに依存すること,REI-1はリポソームに結合する能力をもつことも判明した.これらの結果から,REI-1はリポソーム依存的にRAB-11のGDP-GTP交換因子として働き,線虫初期胚においてRAB-11の活性と局在を制御する新規因子であることが明らかとなった.REI-1は,既知のRab-GEFには見られない特徴をもつことから,今後の詳細な解析によって,様々な生命機能を担うRab11の時空間的制御メカニズムの解明につながると期待される.
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