本研究は、美学芸術学、表象文化論分野ではほとんど主題化されたことのなかった第二次世界大戦後の色彩療法(color therapy)の実態を、ニューエイジ運動、スピリチュアリズム、自己啓発運動との連関から明らかにした。色彩療法/カラーセラピーは19世紀末から神経心理学とともに発達したが、20世紀半ばのニューエイジ運動により神秘性やオカルト性が付与されるようになった。現在ではスピリチュアル・ブームの一端として、特に若い女性の間で人気を高めている。本研究はこの「誰でも聞いたことはあるが、その源泉はわからない」色彩療法の理論的基盤を分析し、現代人の欲望と信仰の体系を明らかにした。
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