組込み技術は我が国の基幹産業である。組込み技術関連産業は我が国の国内総生産(名目GDP)の12.4%(平成22年)を占めており、組込み技術は我が国の豊かさの源泉となっている。組込み技術は、マイコンを含む電子回路等の組込みハードウェアと、マイコンに具体的な動作を指令する組込みソフトウェアから成る、高度な統合的技術であるが、マイコンや組込み技術の存在や働きは、従来、学術的に重視されてこなかった。特に、学校教育における取り扱いは、小学校・中学校・普通高校に関する学習指導要領において圧倒的に不足している。そのため、組込み技術を志す若者は少なく、組込み技術者は慢性的に不足しており、その育成が喫緊の課題となっている。特に今後の学校教育において、組込み技術と現代社会との関係を適切に評価する態度を養いながら、組込み技術に関する理解を深める必要がある。 そこで、本研究課題では、①極めて高機能な32ビットマイコンを活用したネットワーク接続型環境見守りシステムを題材とし、最先端の組込み技術事例について児童・生徒に体験的に学習させる教材を開発すること、②開発した教材を活用して、学習効果を高める授業構成やカリキュラムを構築することを目的とした。その結果、児童・生徒が組込み技術に積極的に関与する態度が期待できるとともに、我が国のものづくり産業に積極的に関与する人材の育成に資することができると期待される。 平成27年度には、前年度に引き続き、組込み技術教育に関する教育題材の検討を進めるとともに、32ビットマイコンを活用したネットワーク接続型環境見守りシステム並びに関連技術の発展的改良を進め、得られた研究成果の一部については国際学会及び国内学会で発表した。また、研究期間全体(平成25年度~平成27年度)を通じて、組込み技術教育のためのネットワーク接続型組込みシステムの開発が大いに進捗したと考えられる。
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