研究課題
高磁場MRIによるT2マッピング法を用いた股関節軟骨の質的評価を行った。全身性エリテマトーデスにおける大腿骨頭壊死無群(17股)と大腿骨頭壊死有群(26股)は健常群(12股)より骨頭T2値が有意に高く、骨密度低下が骨頭T2値上昇の予測因子であることが明らかになった。J. Magn. Reson. Imaging に掲載された。過去30年間のステロイド性骨壊死のMRI研究のシステマティックリビューは1983-1993年25編、1993-2003年55編、2003-2013年85編であり、1位日本(49編)、特に千葉大学が16編で1位だった。Chiba Medical J. に掲載された。大腿骨頭壊死症の疼痛発現部位は、鼠径部92%、膝72%、大腿前面34%、殿部33%、下腿22%、大転子10%、腰8%の順であり、変形性股関節節症と比し、膝及び下腿の頻度が高く、腰の頻度が低かった。本成果はHip Jointに掲載された。体外衝撃波照射による新規治療の開発は、衝撃波群28股と自然経過群28股の第一相臨床試験を行い、合併症なく疼痛と機能改善が得られた。拡散強調MRIによる股関節周囲の神経支配の可視化は健常人24例(男性12例、女性12例)に行い、坐骨神経と大腿神経を描出した。有限要素法と新鮮凍結屍体による力学試験は12例24股(男性6例、女性6例)に行い、Keller vertebraの予測式の妥当性を検証した。以上の研究成果は英文誌に投稿中である。
3: やや遅れている
体外衝撃波照射による新規治療の開発については、英文雑誌に投稿中であるが、Arthritis Rheum、Ann Rheum Dis、Rheumatology (Oxford)、に却下され、Medicineに投稿中である。三次元実体模型と三次元ソフトウェアによる手術支援は先進医療の改定により、計画の変更を余儀なくされている。磁気共鳴スペクトロスコピーによる疼痛の可視化と生物学的製剤による新規治療の開発は準備を進めている。
(1) 三次元実体模型と三次元ソフトウェアによる手術支援。骨切り術の適応となる大腿骨頭壊死症10例を対象とする。算出根拠は年間骨切り手術症例数が2~3例であるためである。術前CTデータから三次元実体模型を作成し、三次元ソフトウェアによる手術シミュレーションを行う。治療成績について過去の自験例と患者背景をマッチさせて有用性を検証する。(2) 磁気共鳴スペクトロスコピーによる疼痛の可視化。大腿骨頭壊死症10例20股を対象とする。脳視床の磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)によりNアスパラギン酸(NAA)を測定する。MRSは細胞の代謝物質を非侵襲的に測定する方法であり、NAAは神経細胞内に特異的なアミノ酸である。視床におけるNAA値の低下は神経細胞の変性を示唆する。以前報告した健常成人値を基準に大腿骨頭壊死と神経障害性疼痛の関連を分析する。(3) 生物学的製剤による新規治療の開発。大腿骨頭壊死症20例を対象とする。本研究は前向きの介入研究であり、第I相臨床試験に相当する。X線透視下に股関節造影検査を行い、生物学的製剤を投与する。生物学的製剤の候補としては抗TNFα製剤としてetanercept、adalimumab、golimumab、抗IL-6製剤としてtocilizumab、CTLA4-IgG製剤としてabataceptを想定している。登録時に投与群・非投与群ともに画像評価と臨床評価を行う。生物学的製剤の有効性と関連する有害事象の有無を調査する。
平成27年度は国際学会へ参加したため外国旅費がかかったが、全体として研究費の節約に務めたため次年度使用額が生じた。
次年度は最終年度となり、成果発表に関わる旅費、外国語論文の校閲費用、投稿料などに使用する計画である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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