• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

地理情報システムによる医療需要の将来推計と可視化

研究課題

研究課題/領域番号 25870129
研究機関千葉大学

研究代表者

土井 俊祐  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90639072)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会医学 / 公衆衛生学 / 地理情報システム / 政策研究
研究実績の概要

平成25年度に行った千葉県を研究フィールドに指定した基礎研究に続き、平成26年度には患者の移動時間や受療行動の法則性、病院の病床稼働率や平均在院日数など、推計を精緻に行うためのパラメータやシナリオの検討を行った。また、当初は千葉県内における検討を行うことを前提としていたが、より普遍的な手法開発のため、最新の研究成果では患者の域外受診や複数のパラメータ変動シナリオなどを考慮した1都8県における入院医療需要推計を行った。例えば2011年時点の入院受療率が維持されると仮定したシナリオでは、2030年に首都1都3県で1日あたり約78000人の患者が自宅から1時間以内の医療機関に入院できる施設が見つからないという推計となるが、入院受療率や病床稼働率などのパラメータを年率0.5%改善すると、同約3000人まで減少する。
研究成果については、平成26年度においては雑誌論文1編、国際学会発表1件、国内学会発表4件などの報告を行った。また、成果の一部については千葉県などに政策提言している他、地元自治体にも講演活動などを通し提供している。さらに、本研究は当該分野の基幹学会である日本医療情報学会でも高く評価され、第33回医療情報学連合大会において優秀口演賞の表彰を受けている。(約3000人参加、2013年11月開催、2014年5月通知。「患者受療圏モデルに基づく医療の需給バランス評価の感度分析」)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

交付申請書における計画では、平成26年度は平成25年度に作成した仮定とパラメータ、受療シミュレーションモデルを利用し、将来の医療需要推計を行うことを目的としていた。
研究内容については、以下の2点を計画していた。(1)将来推計において、仮定やパラメータ、モデル等の指標が異なれば、医療需要量や発生場所等にも変化が生まれるため、種々のパターンにおいてそれぞれ推計を行い、結果を比較検討できるようにする。(2)推計結果を解析した上で、仮定とパラメータ、受療シミュレーションモデルをより実態に近づけるよう、フィードバックを行う。フィードバックを行う際には、研究体制の中で当該分野を専門とする研究者と密に打ち合わせを行うことで、意見を広く受け入れる。フィールドについては千葉県を想定しているが、比較検討のため他の都市圏での検討も視野に入れる。
上記2点について、(1)については平成25年度の検討結果に基づき作成した複数のシナリオによる推計結果を既に学会発表等を通して成果発信まで終えている。(2)については、当初千葉県内を想定していた研究フィールドについて、学会発表や研究ミーティングなどにおける指摘事項を踏まえ、既に千葉県外との移動を考慮した検討や、1都8県の首都圏全体をフィールドとした検討などを既に完了している他、推計結果についても学会発表等を通して成果発信まで終えている。
以上のことから、当初の研究計画に基づき自己点検評価すると、「当初の研究計画以上に進展している」と判断する。

今後の研究の推進方策

最終年度である平成27年度は、平成26年度までに行った推計結果から、理想的な医療資源の配置や患者の受療モデルについて検討し、提示する方策を検討する。想定している医療資源としては、訪問看護ステーションや在宅医療拠点等が挙げられる。これらの結果について、全て地図上に表すことにより、研究成果をよりわかりやすく可視化し、提供できるようにする。これについては、地理情報システムを用いて検討を進める。また、平成26年度までの検討とも合わせ、研究全体を総括する。
研究成果については、学会発表や論文執筆の他、地域包括ケアを推進する地元自治体に提供することも計画している。また、最終年度であることから、3年間の成果を研究報告としてまとめる。

次年度使用額が生じた理由

物品費、旅費等については概ね計画通りであったが、研究計画が順調に進捗したことにより人件費の支出額が予定より少なかったこと、論文や報告の印刷等を平成26年度に行わなかったことから、当該年度使用額は予定を下回った。

次年度使用額の使用計画

今年度は物品費については地理情報システムのライセンス費用として繰り越し額を使用する。旅費について、既に複数の国際学会及び国内学会を予定しているため、旅費については予定額を上回る可能性がある。その場合は、謝金等から振り替えることも想定している。また、最終年度であるため、その他の費用として報告書の印刷費の支出を想定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 患者受療圏モデルに基づく1 都3県の医療需給バランスの将来予測.2015

    • 著者名/発表者名
      土井俊祐,井上崇,北山裕子,西出朱美,井出博生,中村利仁,藤田伸輔,鈴木隆弘,高林克日己.
    • 雑誌名

      医療情報学

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 政府統計を利用した患者のアクセシビリティの評価手法に関する検討.2015

    • 著者名/発表者名
      土井俊祐,井出博生,小川真司,藤田伸輔,高林克日己.
    • 学会等名
      第19回医療情報学会春季学術大会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2015-06-13 – 2015-06-14
  • [学会発表] 地理情報システム(GIS)と政府統計を利用した医療需給評価手法2014

    • 著者名/発表者名
      土井俊祐
    • 学会等名
      第34回医療情報学連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2014-11-06 – 2014-11-08
    • 招待講演
  • [学会発表] Using Geographic Information Systems to Simulate Patients Access Areas2014

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Doi, Takashi Inoue, Hiroo Ide, Toshihito Nakamura, Shinsuke Fujita, Takahiro Suzuki, Katsuhiko Takabayashi.
    • 学会等名
      The 25th European Medical Informatics Conference
    • 発表場所
      Istanbul, Turkey
    • 年月日
      2014-08-31 – 2014-09-03
  • [学会発表] 患者のアクセシビリティーを考慮した入院医療における需供評価手法の検討2014

    • 著者名/発表者名
      土井俊祐,高林克日己.
    • 学会等名
      第56回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県博多市)
    • 年月日
      2014-06-12 – 2014-06-14
  • [学会発表] 患者受療圏モデルに基づく1都3県の医療需給バランスの将来予測2014

    • 著者名/発表者名
      土井俊祐, 井上崇, 北山裕子, 西出朱美, 井出博生, 中村利仁, 藤田伸輔, 鈴木隆弘, 高林克日己.
    • 学会等名
      第18回日本医療情報学会春季学術大会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター(岡山県岡山市)
    • 年月日
      2014-06-06 – 2014-06-07

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi