研究課題/領域番号 |
25870132
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大平 善之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30400980)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | かかりつけ医 / 健康関連QOL |
研究概要 |
健康関連QOLのひとつであるSF-36v2の3コンポーネント・サマリースコア(サマリースコア)および8つの下位尺度について、「かかりつけ医あり」かつ「定期受診あり」(定期受診群)、「かかりつけ医あり」かつ「定期受診なし」(不定期受診群)、「かかりつけ医なし群」の3群間で一元配置分散分析を用いて比較検討を行った。定期受診群と不定期受診群との比較では、サマリースコアのうち身体健康度、下位尺度のうち身体機能、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康において、定期受診群のスコアが有意に低かった。不定期受診群とかかりつけ医なし群との比較では、サマリースコアの精神的健康度、下位尺度のうち全体的健康感、活力、日常役割機能(精神)、心の健康において、不定期受診群のスコアが有意に高かった。定期受診群とかかりつけ医なし群との比較では、サマリースコアのうち身体健康度、下位尺度のうち身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、社会生活機能において、定期受診群のスコアが有意に低かった。 慢性疾患等で定期受診の必要性がなくてもかかりつけ医を持っている群では、かかりつけ医を持っていない群と比較して、精神的健康度、およびその下位尺度である全体的健康感、活力、日常役割機能(精神)、心の健康のスコアが高く、かかりつけ医を持つことで健康に対する安心感が生まれるのではないかと考えられた。一方、定期受診群では、不定期受診群およびかかりつけ医なし群と比較して身体的健康度が低かったが、これは慢性疾患等の身体疾患でかかりつけ医を定期受診しているためと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目にあたる平成25年度は、かかりつけ医の定義の決定、SF-36v2の項目以外のアンケート項目の決定、調査会社への対象者のサンプリングおよび調査票と督促状発送の依頼、調査票の回収を行い、下記「研究1」についての解析、および結果の公表を行う予定であった。 研究1:アンケート調査に返信のあった者について、「かかりつけ医あり群」および「かかりつけ医なし群」に分類する。次に、「かかりつけ医あり群」について、「慢性疾患等で定期的に受診している群(以下、定期受診群)」、および「かかりつけ医を定期受診していない群(以下、不定期受診群)」に分類する。これは、慢性疾患等で定期通院している場合、健康関連QOLがかかりつけ医の有無に関わらず低い可能性があるためである。「定期受診群」、「不定期受診群」、および「かかりつけ医なし群」との間でのSF-36v2のスコアの合計点の差、およびSF-36v2の8つの下位尺度毎のスコアの差について、分散分析を用いて比較検討する。 平成25年度は、調査会社へアンケート調査を依頼し、すでに回収を終了しており、上記「研究1」の解析を行った。現在、研究成果の公表に向けて準備を進めており、当初の目標をおおむね達成しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたる平成26年度は、研究1の解析を進め、研究成果の公表を行う。また、平成25年度に収集したデータを使用し、下記「研究2」についての解析、および結果の公表を行う。 研究2:「かかりつけ医あり群」について、かかりつけ医の業務形態(診療所、病院、大学病院)の違いによるSF-36v2のスコアの合計点の差、およびSF-36v2の8つの下位尺度毎のスコアの差についての比較検討を行う。また、「定期受診群」のみ、「不定期受診群」のみについても、同様の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、本事業遂行のための資料および情報収集、成果公表のための旅費、英訳等の費用を見込んでいた。資料および情報収集は、当初予定していた学会への参加では有用な資料および情報収集ができないことが判明したため、参加を見送った。また、成果公表については、現在、準備を進めており、次年度に実施する予定である。 次年度のはじめに本事業遂行のための資料および情報収集のため、国内学会への参加を予定している。また、成果公表については、引き続き準備を進め、次年度内に学会発表、英文雑誌への投稿等を行う予定である。
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