研究課題/領域番号 |
25870138
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
窪田 吉孝 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10375735)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脂肪組織 |
研究概要 |
脂肪移植法のドナーのひとつである腹部皮下組織には、浅筋膜により隔てられた浅層皮下脂肪組織と深層皮下脂肪組織が存在することが知られている。両者は、解剖学的構築の違いから異なる物理的身体保護作用を持つが、細胞レベルでの機能的差異は明らかではない。本研究の目的は、皮下組織浅層と深層それぞれの脂肪細胞・脂肪組織由来幹細胞の細胞機能の違いを明らかにし、再生医療の目的別に適した細胞調製法を探求することである。脂肪移植の問題点として、生着率が20-40%程度と低く、成績が不安定な点がある。このことは、臨床上、適応を拡大する上で重大な障害であり、この問題を克服するために世界中で様々な基礎研究が行われている。我々はこれまでの研究で、脂肪細胞機能は解剖学的部位と密接に関連しており、細胞ごとに多彩で変化するダイナミックなものであることを明らかにしてきた。しかし、従来、脂肪細胞の部位特異的機能解析は主に皮下脂肪領域と内臓脂肪領域との間で詳細になされてきたが、浅層・深層の間では殆ど行われていない。我々は脂肪移植法や脂肪組織由来幹細胞を用いた幹細胞治療などの再生医療の成績向上と新たな展開を可能とするためには、ドナーの細胞機能解析が必須であると考えるに至った。肥満動物モデルの皮下脂肪の組織学的解析では、背部で明瞭な浅層深層構造がみられ、肥満の特徴である炎症細胞浸潤が深層で顕著であることを明らかにした。また、大動物ブタの皮下脂肪は肉眼的にラード状で、マウスやヒトと大きく異なっていたが、組織学的解析では背部で明瞭な二層構造がみられた。ブタでヒト・マウスと同じ手法での天井培養法による浅層と深層の脂肪細胞回収を試みたが、全く回収できず、種による脂肪組織の違いがあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織からの天井培養法による脂肪細胞回収が、ヒト・マウスでは順調に行えるようになったため、解析が進められるようになったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
小動物であるマウス、大動物であるブタでの脂肪組織の解析結果を踏まえ、今後はヒトでの解析を進めていく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研物品費が想定よりも少なく済んだため 次年度に試薬等が多く必要となると想定されるため、それに用いる予定である。
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