研究課題
平成26年度の研究において、アルデヒド基を持つチオグリコシドによって糖供与体と糖受容体を結合した複合体を用いたグリコシル化が、ほとんどの場合分子間で進行することが示唆された。平成27年度は、分子内反応を引き起こすために必要な複合体の構造の探索と反応条件の検討を行った。ベンジルエーテルで糖供与体と糖受容体を結合した複合体に対して活性化剤としてNIS/TfOHとMeOTfを用い、ジクロロメタン中様々な反応温度にてグリコシル化反応を行った結果、一級水酸基がフリーの複合体ではいかなる条件でも分子間反応が優先することがわかった。その一方で二級水酸基がフリーな複合体においては、MeOTfを活性化剤に用いた場合において分子内でグリコシル化反応が進行することがわかり、反応温度が高いほど優れた立体選択性を示すことを見出した。また、平成26年度にチオサリチルアルデヒド基を持つ糖供与体が通常のチオグリコシドは活性化されないTMSOTfによって活性化されグリコシル化反応が進行することがわかったため、本糖供与体の立体選択性や活性化剤感受性などを調べた。その結果、TMSOTfの代わりにTf2Oを活性化剤として用いると反応収率が大幅に向上することが分かった。また、イミデート糖供与体とチオサリチルアルデヒドをアグリコンとして有する糖受容体を共存させてTMSOTf用いてグリコシル化を行ったところ、イミデートが特異的に活性化され対応する二糖のみを与えることを新たに見出した。
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