物体の視覚特徴についての表象は大脳皮質の内部表現の中でも最も研究が進んでいるが、個々のニューロン活動に基づいた従来の見解では、ある皮質領野における視覚特徴の神経表象は、その領野において生成され、支配的な神経表象になると考えられてきた。これに対して、まず低次側の領野で神経表象の「前駆コード」が少数生成され、それが高次側の領野で増やされる、という仮説も立てる事ができる。本研究では、マカクザル下部側頭葉の隣接した領野であるTE野と36野のそれぞれにおいて複数のニューロンから同時に活動を記録し、図形間対連合の神経表象を生成する神経回路を明らかにする事によって、後者の仮説が正しいことを初めて実証した。
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