研究課題
思春期後期は、社会関係を発展させる一方、精神疾患の有病率も急激に増加する時期で、大学生までに8人に1人が精神疾患を患うか、罹患した経験を持つ。大学生活は、新たに構築する社会関係を利用してライフイベントに対応し、本人の自尊心を高め、自我を確立させる過程として重要な場である。本研究では、大学というコミュニティにおいて社会関係の発展が、精神疾患の予防・軽症化・早期回復につながることを定量的に証明し、社会関係構築の正の側面を見出すことが目的である。本研究によって、レジリエンスやソーシャルキャピタルの重要性を定量的に証明し、大学精神保健・支援機関のモデルケースとなりうることを目的とする。平成26年度までに、都内20の大学より本研究の目的を伝えずにリクルートした259名について、第一期調査を完了した。また、1か月後調査、1年後調査も順調に実施しており、それぞれ100%、83%の回答率を得ている。1年後調査は平成27年8月に終了した。まず、社会関係と抑うつとの関係については、SSQで計測した相談できる人数と満足度において、人数の少なさではなく満足度の低さが1年後の抑うつ症状の悪化を予測した。また、逆に抑うつ症状の悪化によって、相談できる人数ではなく満足度の低下を認めた(Ohta et al., in preparation)。また、レジリエンスやソーシャルキャピタルの形成要因の一つとして精神疾患へのスティグマに着目した研究をまとめた。ランダム化比較試験によるスティグマ軽減戦略の検討を、査読付き英文誌に投稿した(Koike et al., under review)。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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