研究課題
下記三編の論文を執筆・投稿中である。(1)稀な膵管の破格であるAnsa pancreatica (AP)と急性膵炎の関連を証明した研究はない。我々はこれを証明するため、MRIによる胆道膵管画像(MRCP) を撮像した健診受診者587名と単回急性膵炎患者55名と再発性急性膵炎患者18例を対象に、APの頻度や臨床背景を比較する、後方視的症例対照研究を行った。その結果、APの頻度は再発性急性膵炎群で健診群に比較し統計学的に有意に高く、APの存在は再発性急性膵炎と独立して関連することが初めて示され、APは再発性急性膵炎発症の原因となると推定された。(2)原因不明の慢性高膵アミラーゼ・リパーゼ血症(CNPH)における膵管破格の関連は明らかでない。我々はこれを証明するため、MRCPを撮像した健診受診者556名とCNPH 患者32名を対象に、膵管破格の頻度や臨床背景を比較する、後方視的症例対照研究を行った。結果、膵管癒合不全と蛇行主膵管の頻度は CNPH群で健診群よりも有意に高く、これら膵管破格の存在はCNPHと独立して関連していた。これらの膵管破格の存在はCNPHの原因となると推測された。(3)慢性アルコール性膵炎における膵実質萎縮について膵頭部・膵体部・膵尾部の萎縮の程度の違いに着目して検討した研究は今までにない。我々はこれを証明するため、MRCPを撮像した健診受診者203名と慢性膵炎患者44名を対象に、膵管破格の頻度や臨床背景を比較する、後方視的症例対照研究を行った。結果、膵体部と膵尾部は健常群に比べ、有意に慢性アルコール性膵炎群で小さく、慢性アルコール性膵炎の存在は膵体部・膵尾部の大きさに独立して負の相関をすることが分かった。慢性アルコール性膵炎は膵体尾部の萎縮をきたすと結論付けられた。
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巻: 36 ページ: 393-399
Radiology Case Reports
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