新生児集中治療領域(NICU)における市中獲得型MRSAの効果的な感染対策を確立するため、2007年から2012年に分離されたMRSA 113株を対象に解析を行った。NICUでの市中獲得型MRSAは経年的に増加を認め、保菌率は院内発生型と比し鼻腔で低く糞便で高率であった。また市中獲得型MRSAは病院感染型と比し消毒薬耐性遺伝子の保有率が有意に低く、ポリプロピレン環境表面上で長期間生存することが確認された。これらの結果を踏まえ、従来の標準・接触予防策に加え環境整備を強化する多角的な感染対策を実施したところ、新規千入院患者あたりの新規MRSA発生率は半減し、有効な対策と考えられた。
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