研究実績の概要 |
元来、本研究は2016年度で終了の予定だったが、2016年7月にトルコ共和国で政変が発生し、以後もしばらく政情不安が続いたこと、また、家庭の事情もあって長期の在外調査を行なうのが困難となったため、事業期間を一年延長することとなった。そこで本項では二年間の研究実績を記す。 この間は在外調査は必ずしも十分には行なえなかったが、これまでの成果を踏まえ、引き続き19世紀末から20世紀初頭に至るオスマン公法学の成立と展開に関する史料の収集を進めつつ、これを同時期のギリシア公法学と比較検討する作業も進めてきた。収集済みの史料の精読と分析がこの間の作業の中心となったが、これに加え、2017年8月には、短期間ではあるがトルコ共和国に出張し、イスタンブルの首相府オスマン文書館やイスラーム研究センター附属図書館にて史料の収集を行なったほか、現地書店で必要な書籍を多く購入した。 このかんの業績は別項に記す通りだが、2016年発表のため別項に記載できなかった業績をここに記す。 Nobuyoshi Fujinami, “Georgios Streit on Crete: International Law, Greece, and the Ottoman Empire,” Journal of Modern Greek Studies, 34(2), 2016, pp.321-342. 藤波伸嘉「仲裁とカピチュレーション―1901年オスマン・ギリシア領事協定にみる近代国際法思想」『史学雑誌』第125編第11号、2016年11月20日、1-36頁。 藤波伸嘉「法の歴史、イスラームの歴史―イブラヒム・ハックにみる近代オスマンの歴史叙述」、第66回日本西洋史学会大会、小シンポジウム3「グローバリゼーションのなかで歴史を書くこと―近代歴史学思想へのトランスナショナル・アプローチ」、慶應義塾大学、2016年5月22日。
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