今後の研究の推進方策 |
すでに研究計画予定において、一年目の研究の進展に応じて二年目以後の研究をどのように替えてゆくか二通りの展望を述べてあったが、その二つ目の方向性を探求する予定である。すなわち、元々は右巻き超対称性が二つ、左巻き超対称性が無い理論(所謂 N=(2,0) 理論)を主な研究対象と考えていたが、それに留まらず、右巻き超対称性が一つ、左巻き超対称性の無い理論(所謂 N=(1,0) 理論)の研究に視点を広げようと考える。前者については、どのような種類の理論があるかの分類が既に知られているが、後者については、どのような種類の理論があるかが決定されておらず、また、存在の知られている理論に関しても、殆どその性質が知られていない。 そこで、今年度は、これら N=(1,0) 理論についての理解を深めることを目標とする。このクラスの理論として、長らく存在の知られているものに、例外群の対称性を持ったものがあるが、まずは、その理論自身の性質、また、それをいろいろな二次元空間にコンパクト化して得られる4次元の超対称理論の性質を調べる予定である。この問題に関しては、先行研究として、平坦な二次元トーラスにコンパクト化した場合の解析がいくつかなされているが、曲がって穴の開いた二次元面に於いてこの理論を考察した論文はまだ皆無である。 N=(2,0) 理論に関しても、過去5年の爆発的な進展は、Gaiotto によって、曲がって穴の開いた二次元面にコンパクト化して得られる4次元超対称理論が決定されたことがきっかけになっている。であるから、N=(1,0) 理論に対しても類似の進展があれば、それを突破口として、大きな発展が期待出来ると妄想するのは甘いであろうか。
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