研究課題/領域番号 |
25870161
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星野 太 東京大学, 総合文化研究科, 特任助教 (80646208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 崇高 / 美学 / 修辞学 / ボワロー / バーク / カント / ドゥギー / ド・マン |
研究概要 |
本研究課題の初年度にあたる平成25年度は、18世紀の「美学」成立期前後における「崇高(sublime)」の概念の変遷をめぐる思想史的な研究を行なった。具体的に、本研究において明らかにしたのは、ロンギノスに端を発する修辞学的な「崇高」の系譜と、18世紀以降に勃興した美学的な「崇高」の本質的な交錯関係である。 以上の問題設定に基づき、本研究では、17世紀のボワローによる『崇高論』翻訳(1674)、エドマンド・バークの『崇高と美の観念の起源』(1757)、さらに『判断力批判』(1790)をはじめとするカントのテクストを検討した。それによって本研究が試みたのは、黎明期の美学において「崇高」という概念が占めていた位置を明らかにし、さらにその背後に潜む「美学」と「修辞学」の関わりについて検討することである。 さらに、以上の研究と平行して、20世紀において新たな展開を見せた「崇高」概念の内実を詳らかにすべく、ミシェル・ドゥギー、フィリップ・ラクー=ラバルト、ポール・ド・マンらによる1980年代のテクストを検討した。 これらの研究は、昨年度までの代表者の研究の延長線上にあるものであったため、その成果の一部をすでに口頭発表として公表した。それ以外の研究は、次年度以降に論文ないし口頭発表のかたちで公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は、研究計画書に記した年次目標(バウムガルテン、カントを中心とする18世紀美学における「崇高」の研究)をおおむね達成することができた。加えて、平成27年度に予定していた研究(19世紀から20世紀にかけての「崇高」)にも部分的に着手することができた。 以上の理由により、今年度の研究は当初の計画以上に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成26年度)以降は、当初の計画通り、18世紀から20世紀にかけての西洋における「崇高」概念を、美学のみならず関連する諸分野へのアプローチを通じて可能なかぎり詳らかにする。そのさい、当初計画していたドイツ、フランス語圏の文献に加えて、イタリアをはじめとする他の諸地域にも併せて関心を向ける予定である。
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