研究課題/領域番号 |
25870161
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星野 太 東京大学, 総合文化研究科, 特任助教 (80646208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 崇高 / 美学 / 思想史 / 大杉栄 / リオタール |
研究実績の概要 |
本研究課題の3年度目にあたる平成27年度は、これまでの研究を踏まえ、大杉栄とジャン=フランソワ・リオタールにおける「崇高」概念の研究に努めた。とりわけ今年度は、過去2年間の研究成果を論文ないし口頭発表として公表し、国外の研究者とのさらなるネットワークを構築することに注力した。 その第一の成果として、ゲント大学(ベルギー)で行なった昭和・大正期の「崇高」概念に関する講演が挙げられる。近代の日本における「崇高」概念の受容を明らかにした同講演を通じて、同大学のメンバーとの今後の共同研究の可能性が開けたことは、今年度における大きな成果であった。 第二の成果としては、東京大学で「Literary Figures」という国際シンポジウムを組織したことが挙げられる。同シンポジウムは、以前より共同研究を行なってきたソフィア大学(ブルガリア)と東京大学の共催によって実現したものである。今年度の共同研究を通じて、本研究課題の中核をなす「崇高」の問題を(文学をはじめとする)隣接領域へと広げる展望が開けてきたことは、同じく今年度の大きな成果であった。 また、今年度は、昨年度に開催した国際シンポジウム「The Sublime and the Uncanny」の成果を発展させ、これを一冊の論文集として刊行した。この論文集は、本研究課題の過去3年間のひとつの集大成に相当するものである。これらを踏まえ、最終年度である平成28年度は、4年間の研究成果を総括する著書および論文を刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度は、前述の論文集「The Sublime and the Uncanny」の刊行をはじめ、3年度目にしてこれまでの研究成果を複数の論文や口頭発表として公にすることができた。以上のことから、今年度における研究は、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる次年度(平成28年度)は、これまでに構築してきた国際的なネットワークを活用しつつ、これまでの研究成果を著作や論文として刊行できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回、次年度使用額が生じた主な理由は、年度末に刊行した研究報告書の印刷費による。本報告書の作成にあたって、製作段階で頁数や用紙に若干の変更が生じたため、当初確保していた予算額を下回ることになった。そのため、39,420円の余剰額が生じた次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に生じた次年度使用額39,420円は、平成28年度に物品費(消耗品)および国外旅費の一部として使用する。
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