本研究の目的は、(1)立位バランスの多関節制御の神経機構を明らかにするとともに、(2)その発育発達・加齢低下メカニズムを解明することである。健常若齢者を対象とした研究では、立位バランスの制御は多くの関節が関与する多関節動作であることが強く支持された。同時に、中枢神経系は多関節動作中に生じる力学的効果である関節間相互作用を利用した制御方略を採用していることが示唆された。また、幼児・児童および高齢者を対象とした一連の研究からは、立位バランス制御能力の発育発達や加齢低下には、関節間運動協調の構造変化を伴っていることが明らかになった。
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