本研究課題では,非定常状態における遺伝子発現系を非平衡統計力学理論に基づいて統計解析することを目的としていた.非平衡理論に基づいた解析手法を開発することで,外部からの変動のある系,振動現象を生じる系,外在ゆらぎの影響を受ける系などの遺伝子発現系の解析を行った.振動現象の解析では,ゆらぎに対するロバスト性と外部信号に対する感度の両方を両立する条件を探り,現存の体内時計が満たしていることを明らかにした.また,非定常状態の確率密度関数を計算する方法を開発したことで,外部入力のある系の分布が高速に計算可能となった.
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