研究課題
本研究では、B型肝炎の慢性化に関与する遺伝要因を網羅的に探索すると共に、既知の遺伝要因であるHLA-DPの詳細な検討を実施する事を目的とする。22か所の研究協力施設により収集された日本人検体約1,300検体に対して、HLA-DPA1およびHLA-DPB1のHLAタイピングを実施した。比較の為、韓国集団、香港集団、タイ集団合計約1,800検体についてもHLAタイピングを実施した。また、新規遺伝要因同定を目的としたGWASを実施した。HBV持続感染に関連するHLA-DPB1アリル同定の為の関連解析を行ったところ、先行研究と同様の2つのアリルでの関連が見られた。またそれ以外にこれまでに報告されていない2つの抵抗性アリルと1つの感受性アリルで新たに関連が示された。抵抗性/感受性アリルをヘテロで有する方がホモの場合より強い関連を示すことも明らかにした。韓国集団では日本集団と共通の2つのアリルが感受性・抵抗性に関連する事が示され、香港集団では共通のアリル1つが抵抗性に関連する事が示された。タイ集団では、日本集団とは異なるアリルの関連が示された。また、病態進展に関連するHLA-DPB1アリル同定の為の関連解析を行い、HLA-DPB1*02:01が慢性化のみならず病態進展にも関連するアリルとして同定された。B型肝炎の慢性化に関連する新規の遺伝要因探索を目的としたGWASを実施し、P<10-4を示すSNPを529か所見出した。そのうち既報のHLA-DP領域が位置するHLA領域に位置するSNPは471か所にのぼった。今後もアジアにおいて慢性化および病態進展に関連するアリルの共通性と異質性を調べる事で、病態におけるHLA-DPの機能の理解に繋がると共に、日本およびアジアにおける治療方針決定に役立つ事が期待される。
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The Pharmacogenomics Journal
巻: - ページ: -
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PLoS One
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