研究課題/領域番号 |
25870180
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 真子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90596462)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ケージド化合物 / 光誘起電子移動 / BODIPY |
研究概要 |
当研究室ではこれまでに、可視光蛍光色素である1,3,5,7-tetramethyl-BODIPYの4位ホウ素にフェノール誘導体を導入した化合物に可視光を照射すると、B-O結合の開裂が誘起され、アンケージ反応が起こることを見出した(未発表)。さらにこの光化学反応の収率が、近傍の電子供与体の電子密度に依存して変化することから、この電子供与体から励起状態の色素分子への電子移動が初発となり、結合の開裂が誘起されることが強く示唆された。そこで本知見に基づきBODIPY骨格をケージ基として用いることで、500 nm以上の可視光で活性化可能なケージド化合物を合成した。具体的には、BODIPY骨格にbenzyloxycarbonyl linkerを介してヒスタミンを導入したBODIPYケージドヒスタミン(BcHA)を合成した。開発したBcHAは、光照射に応じてヒスタミンを放出し、また光照射により生きた細胞内におけるCa2+濃度上昇を引き起すことが示された。BODIPYケージド化合物は、1)既存のケージド化合物と比して長波長の光での活性化が可能であるため生体組織深部への適応が期待できる、2)蛍光性であるためその細胞内局在の確認が可能である、といった従来のケージド化合物にはない特徴を有し、標的分子の局在に合わせた効果的なケージド化合物の創製が可能になると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度における検討から、これまでは蛍光色素として汎用されてきたBODIPYがケージ基としても機能することを見出し、適切な構造修飾を施すことで500 nm以上の可視光励起で駆動するケージド化合物の開発に成功した。本知見は、本研究課題の達成目標である近赤外光で駆動するケージド化合物の設計にも拡張可能であることから非常に重要な成果であると考え、上記の評価とした。このようなケージド化合物の創製により、生体深部において時空間を制御して生理活性分子を添加することが可能となり、生体機能を解明するツールに成り得ると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までに開発した可視光で駆動するBODIPYケージド化合物を用いた生物学的アプリケーションを積極的に推し進めていく。具体的には、生理活性分子としてグルタミン酸などの神経伝達物質を導入した誘導体を合成し、可視光照射依存的に神経細胞の活性化を誘導できるか検討する。また、この光化学反応の詳細な機構解析を行い、電子供与体の電子密度・電子供与体と色素の間の距離等を最適化することで、効率的な結合開裂を引き起こすための条件を検討していく。ここで得られた知見を生かし、まず可視光照射により駆動するケージド化合物の創製と設計ストラテジーを確立する。さらに本設計法をより長波長のケージド基に適用することで、近赤外光照射により薬物を放出する新たなケージド化合物の設計開発にも取り組む。このように、独自の分子設計法に基づき、長波長の光による開裂反応効率、開裂前後での生理活性のOFF/ON率などを最適化した新たな光機能性分子を開発していく。
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