研究課題
X線CCDは、高い空間分解能と元素を弁別できる中程度のエネルギー分解能を併せ持つ撮像分光検出器として、X線天文分野において活躍してきた。CMOSイメージセンサーは、信号読み出しに数秒かかるというCCDの難点を1000倍程の高速読み出して解決できる可能性を秘めたデバイスである。そこで、本研究では、可視光用に開発された低ノイズCMOSイメージセンサを用いて、X線光子計数による撮像と分光の能力を世界で初めて検証することを目指した。用いたCMOSイメージセンサーは、アンドールテクノロジー社製、Zyla sCMOS カメラ である。本年度前半は、研究代表者の所属変更に伴い、新任地での研究設備の整備に時間を割いた。後半は、前年度購入済みのZyla sCMOS カメラのセットアップ、基礎動作確認を経て、前年度改修を施したオンボードFPGA処理の改修効果の機能検証を実施した。用いたX線限は55FeからのMn-Ka(5.9keV)とMn-Kb(6.5keV)である。QL解析の結果、単一X線光子から生成される信号電荷が単一画素に収まりきらず、複数画素にまたがって検出されている例(X線イベント)が多数見られた。これらの結果は、学部4年生の卒業研究としてまとめあげた。次に、ADCを16bitにしたデータ取得を試みることと、エネルギーの低いX線を入射X線限として用いるための二次ターゲット式のX線発生装置開発を進めている。必要な装置、材料の入手を完了したので、次年度も引き続きCMOSイメージセンサを用いたX線撮像分光の性能検証実験を進めたい。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件)
The Astrophysical Journal, Volume 814, Issue 1, article id. 29, 11 pp.
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The Astrophysical Journal,
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10.1088/0004-637X/802/2/91
Publications of the Astronomical Society of Japan
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10.1093/pasj/psv013