研究課題/領域番号 |
25870188
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米澤 貴之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20410665)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 骨芽細胞 / 低分子化合物 / 歯周病 |
研究概要 |
超高齢化社会において患者数の増加が見込まれる歯周病はQOLに大きく関わる疾患であり、進行した病態においては歯周組織を再生して治療する技術が必要となる。本研究では、先行研究において骨芽細胞分化促進作用を見出している低分子化合物のハルミンの作用標的分子を明らかとすることを目的として、以下の実験を行った。 (1)各種特異的シグナル阻害剤を用いて、ハルミンによる骨芽細胞分化に対する影響をアルカリホスファターゼ(ALP)活性を指標に解析した。その結果、以前明らかにしていたBMPシグナル経路の他、骨芽細胞分化に関わることが知られるWntシグナル経路やヘッジホッグシグナル経路なども関与していることを示唆する結果を得た。(2)ハルミンによって発現が変動する標的遺伝子を網羅的に解析するために、ハルミン刺激後のmRNAを調製した。骨芽細胞分化関連マーカー遺伝子の発現を確認後に、マイクロアレイ解析を行うための準備を進めている。(3)ハルミンによって発現が変動するタンパク質を同定するために、まず、ハルミンで刺激後の培養液中の蛋白質を調製した。このタンパク質をトリプシンで消化後に、LC-MSで解析するための条件を検討している。(4)ハルミンに直接結合するタンパク質を精製・同定するために、ハルミン誘導体を結合した磁性ナノアフィニティービーズを作製した。このハルミン結合アフィニティービーズと骨芽細胞抽出液中の蛋白質との結合や洗浄条件の検討を始めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハルミンの骨芽細胞分化促進作用における作用標的分子を明らかとするために、4方向からのアプローチを同時進行で進めている。阻害剤を用いた研究から新たな知見を得られた他、マイクロアレイ解析やセクレトーム解析によるmRNAレベルやタンパク質レベルでの結果が得られる見通しが既に立っていることから、本研究はおおむね順調に進行していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、マイクロアレイ解析によるmRNA発現変動遺伝子の同定、プロテオーム解析によるハルミン刺激下流の蛋白質の同定、さらに、ハルミンに直接結合するタンパク質の精製と同定を進め、それらの結果の相関を統合的に解析することで、ハルミンが骨芽細胞分化を促進する経路の解明につなげる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
マイクロアレイ解析の外注費用の支払いが当初の計画と異なり次年度の支払いとなったため。 次年度使用額については当初の予定通り、マイクロアレイ解析の外注費用として使用し、その他は計画通りに使用する予定である。
|