地域の歴史的経緯や風景を維持した上で、防災上有利となる場所を見出すことは可能か、という問題意識から、本研究は津波常襲地帯の集住地構造を読み解くために神社に着目し、神社・集住地・自然環境の三者の空間的な関係性を明らかにすることを目的とする。対象地は三陸地方沿岸部および高知県高知市・須崎市の沿岸部である。結論として、集住地の立地はメゾスケールの地形・水系が強い影響を与え、神社立地は、より高頻度な水害(洪水)が卓越していなければ共通した高台立地傾向を示した。しかし、神社と集住地の空間的関係性は、生業の影響や氏子域との関係など、より個別事情が支配的であることがわかった。
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