研究実績の概要 |
1.タンパク質は、単独で機能するのではなく、他のタンパク質と相互作用することにより機能する。そのため、ゲノムワイドな相互作用を記述した、タンパク質間相互作用ネットワーク(PIN)は、薬剤標的分子の探索や、進化のメカニズムをシステム的な観点から理解するために利用されている。しかし、実験的に、このようなPINを構築するのには、膨大なコストと時間がかかる。そこで、今回、neural networkを基盤とした、科学文献情報から、PINに関する情報を抽出する手法を構築した。中枢神経系の疾患(CNS)に関する科学文献情報を収集し、これらの文献に対して、今回構築した手法を適用して、CNSに関わるPINを構築した。また、パブリックドメインのデータベースと比較することにより、構築したPINの信頼性が高いことを確認した。したがって、今回構築したPINは、CNSに関する、疾患メカニズムの調査および薬剤標的分子の探索のための、有用なツールとなりうる。以上の研究成果について、国際学会、2nd International Symposium on BioComplexityにおいて、口頭発表を行った。 2.PINの解析と機械学習を基盤とした、新規の薬剤標的分子を予測する数理モデルの改良を行った。このモデルを使用して、複数の疾患に対する、薬剤標的分子の予測を行った。また、予測した、標的分子のリストをもとに、これらの疾患に対してドラッグリポジショニングの対象となりうる薬剤リストの作成を行った。この研究成果について、Chem-Bio Informatics学会2016年度年大会において、口頭発表を行った。 3.1,031種の原核生物、126種の真核生物、96種の古細菌のPINについて、ネットワーク解析を行い、構造の違いを調査した。その結果、原核生物と真核生物のPINの構造が、大きく異なることを発見した。
|