研究課題
大動脈瘤はこれまで基礎研究から歯周病との関連が認められてきた循環器疾患である。大動脈瘤の病変から歯周病原細菌が検出され、また動物実験からは歯周病原細菌の感染により大動脈瘤の拡張が示されてきた。このことから、本研究では、大動脈瘤患者における歯周病罹患状態を解析することにより、両疾患の関連を探究していくこととした。結果として、腹部大動脈瘤患者では歯周ポケットの深化が認められ、歯周病の状態が悪化していることが明らかとなった。しかしながら、口腔内の唾液および歯に付着したプラークサンプルからのPorphyromonas gingivalis、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Prevotella intermediaといった主要な歯周病原細菌の検出率を検討したところ、大動脈瘤患者とその対照群とで有意な差は認められなかった。歯周病の悪化が大動脈瘤の形成や進行に直接寄与するかどうかは今のところ不明であるが、他の循環器疾患と同様に歯周病と大動脈瘤の関わりは注目すべき事項としてとらえる必要があると考えられる。大動脈瘤罹患者では歯周病の検査を積極的に行い、歯周病の進行が認められれば大動脈瘤に対する予防・治療処置と同時に歯周病に対する治療も進めていくことが必要であると考えられる。本研究の結果から、大動脈瘤患者では歯周病の進行が認められた。このことから歯周病と大動脈瘤とは関連が示唆され、今後のさらなる研究によりその関連についての詳細なメカニズムの解明が必要であると言える。本研究結果は歯周病が全身に与える影響とそのメカニズムの解明に向けたデータのひとつとなると考えられる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Int Heart J
巻: 55 ページ: 268-270
10.1536/ihj.13-301
Heart Vessels
巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定
10.1007/s00380-014-0507-6