研究課題
ヒトには内因性に痛みを抑制する仕組みが備わっている。そのひとつが「痛みが痛みを抑える現象」、すなわち条件刺激性疼痛調節(Conditioned Pain Modulation:CPM)である。CPMの評価は疼痛治療に応用できる可能性があるが、そのメカニズムはいまだ明らかではない。また、確立されたCPM評価法はない。平成26年までに、CPM評価のため定量的に圧痛覚閾値を測定可能な機械を開発し、当該圧痛覚閾値測定器は信頼性がありCPM評価に使用可能であることを確認した。痛みの評価を客観的に行うには、CPM誘発のための条件刺激も定量化が望ましいと考え、平成27年度はペルチェ素子を利用した冷温切り替え可能な定量的熱刺激装置を開発した。開発した定量的熱刺激装置は定量的温刺激および定量的冷刺激を与えることが可能であった。また、定量的熱刺激装置による条件刺激によってCPM効果が認められた。以上より、開発した定量的熱刺激装置は定量的条件刺激として信頼性があることを示した。また、顎関節の慢性疼痛を認める患者では、CPMすなわち内因性疼痛調節機能に変調が生じていることを明らかにした。今回開発した定量的熱刺激装置を改良しコンパクトな実験装置を作成すれば、臨床現場における使用も可能である。さらに、われわれが開発した定量的熱刺激装置および圧痛覚閾値測定器により定量的なCPM評価を行うことは、健康成人および慢性疼痛患者における内因性疼痛メカニズムの解明、ひいては痛みのテーラーメード治療法の開発につながる。
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日本歯科麻酔学会雑誌
巻: 44 ページ: 201-203
Pain
巻: 156 ページ: 2545-55
10.1097/j.pain.0000000000000325.