本研究課題は、当初は平成25年度から27年度にかけての3年計画であった。しかしながら、調査対象であるマレーシアのイスラーム金融に関する法改正と、それに伴う同国のイスラーム金融産業・市場の変化が発生した。これに伴い、研究期間を1年延長して4年間とした。そのため、28年度は4年目に相当する。 28年度は、これまでの調査・研究の総括するものとして、マレーシアで平成25年に施行されたイスラーム金融を対象とするイスラーム金融サービス法(Islamic Financial Services Act 2013)の内容と従前の法律からの変更点、同法施行以降のイスラーム金融市場と産業の変化についての調査・分析を行った。とりわけ、同法改正に伴うタカフル保険会社の業界再編に関しては、28年度も継続的に行われていることが確認された。また市場分析に際しては、中央銀行であるバンク・ヌガラ・マレーシア(Bank Negara Malaysia)の統計データ等を用いた。以上の分析結果は、5月に武蔵大学で開催された日本金融学会春季大会において「マレーシアにおけるイスラーム金融サービス法の施行とイスラーム金融機関への影響」との題目で報告を行った。 同じく28年度においては、12月にマレーシアにて現地調査を行った。まずクアラルンプールでは、バンク・ヌガラをはじめイスラーム金融機関への聞き取り調査を行った。次にジョホール州を訪れ、同州を対象に行われている長期の地域開発振興計画であるイスカンダル・マレーシア(Iskandar Malaysia)に関連し、同州における民間のイスラーム銀行の立地展開に関する調査を実施した。
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