研究課題/領域番号 |
25870208
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
境 優 東京農工大学, 農学部, 特任助教 (10636343)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シカ食害 / 河畔植生 / 陸生昆虫 / 土砂流出 / 河川生態系 / 水生昆虫 / 魚類 |
研究概要 |
シカ密度の増加による植生被害は、全国各地での問題であるだけでなく諸外国でも同様に多数報告されている。日本国内では今後もシカ食害の影響が続く見込みが大きく、植生への直接的影響だけでなく、陸上の昆虫類、さらには水域生態系への間接的影響も懸念される。このようなシカ食害の間接的影響の解明は、シカに関する野生動物管理について重要な根拠を提示するものであり、推進する必要性が高い.本研究では、シカ食害と河川生魚類との関係に注目して以下のような研究を実施した。 シカ食害の影響を受けて河畔域の植生が衰退した調査河川と、シカを排除してから8年が経過し、河畔植生が夏期に繁茂する調査河川において河畔植生調査、落下昆虫相・水生昆虫相調査を行うとともに、魚類の胃内容物を採取した。さらに、炭素・窒素安定同位体比分析などに供する粒状有機物、付着藻類、水生昆虫、魚類サンプルを各調査河川から得た。いずれの調査も積雪期を除く期間内に4回実施し、概ね計画通りに遂行することができた。 得られたサンプルは、各種今後の分析手法に応じて、冷凍保存、乾燥保存、エタノール保存、ホルマリン固定などの処置をそれぞれ施した。これらのサンプルは、シカ食害による河畔植生衰退が、河川への落下昆虫量、陸から川への土砂流出量の変化を通して、どのように付着藻類や水生昆虫などの水生生物、さらには食物網上位種の魚類に影響を及ぼすのかを明らかにする重要な手がかりとなる。当該年度に得られたサンプルによって、魚類を含めた河川生態系にシカが及ぼす影響について、より明確な知見が得られることが今後期待できる。なお、当該年度では、本研究に関する成果の一部として総説1件、論文1件を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実地調査やサンプル処理について当初計画に沿って概ね達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの処理を進めるとともに、データ整理を行い、専門家との意見交換や先行研究のレビューを通じて成果のとりまとめを行う。
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