研究課題
本研究ではスラッジ水に含まれるセメント分を有効利用する新規セメントリサイクルシステムを構築するために、1)カロリーメーターによるセメント残存分の定量方法を確立した。また、実際のスラッジ水を考慮し2)化学混和剤が共存した系におけるグルコン酸ナトリウムによるセメントの水和反応制御機構の解明を行った。そして、実際のスラッジ水を模擬したセメントペーストを用いて、3)金属塩による水和遅延解除効果の検討を行い、セメントの水和制御・解除方法を確立した。さらに4) 水和反応モデルを用いたセメント水和発熱速度予測シミュレーションを検討し、以上の結果を統合させ、スラッジ水中の未水和セメント分の迅速定量評価手法の確立について検討した。最終年度は4)について検討を行い、伝導型熱量計を用いて24時間における水和発熱量を測定することで、スラッジ水中の残存セメント分を簡便に推定することを可能とした。さらに水和反応速度シミュレーション法を構築し、10時間程度までの水和発熱速度を測定することでスラッジ水中の残存セメント量を推定することを可能とした。また、2)についても検討を進め、スラッジ水中のセメントへのグルコン酸ナトリウムの作用機構の解明を目的とし、C3Aとグルコン酸ナトリウムの相互作用およびポリカルボン酸系分散剤を添加したセメントペーストにグルコン酸ナトリウムを添加した場合の水和発熱特性について検討を加えた。C3Aとグルコン酸ナトリウムの相互作用は非常に強く、セメント中のエーライトの水和を効果的に制御するためにはC3Aの反応が進行した後にグルコン酸ナトリウムを後添加することが有効であると考えられた。ポリカルボン酸系分散剤を添加したセメントにおいてもグルコン酸ナトリウムは遅延作用を示し、スラッジ水中のセメントのように分散剤が吸着した後でも有効に作用することを明らかとした。
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Proceedings of the 11th CANMET/ACI International Conference Superplasticizers and other chemical admixtures in concrete (ACI SP-302)
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Journal of Advanced Concrete Technology
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