本研究では、成長に不確実性の簡易なOLGモデルを構築し、市場が抱く「財政規律の見通し」や「財政調整ルール」が国債金利に及ぼす影響のほか、国債金利の低下と公的債務の増加との関係の分析を行っている。分析の結果、公的債務の蓄積は国債金利の上昇をもたらすとの伝統的な見解とは対照的に、公的債務の蓄積が民間資本に比べて進むと国債金利は下がる可能性があることや、財政調整ルールが均衡での国債金利の決定に重要な役割を果たす可能性があり、相対的に安定的な均衡解が消失するときは経済は離散的な経路をたどり、財政再建が避けられず国債金利が急上昇する状況に経済が移行する可能性があることが示された。
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