研究課題/領域番号 |
25870239
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
成島 康史 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (70453842)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 数理計画法 / ロバスト最適化 / 2次錐計画問題 |
研究実績の概要 |
各項目に関して以下のように研究を行った 1.ロバストポートフォリオ選択問題に対する数値解法の研究:初年度に引き続き文献研究を進めるとともに、既存のモデルの構造を解析し、不確実性を含む場合の定式化を行った。具体的には平均分散モデル、平均絶対偏差モデル、平均下半分散モデルを取扱い、不確実性を考慮した問題を2次錐計画問題として定式化した。さらに、応用例として年金運用の事例に適用し、各モデルの有効性を検証した。また、数値解法についても、前年度に提案した数値解法の構造を解析し、改良を施した。さらに、数値実験において、既存の方法と比較を行い、有効性を検証した。 2.需要の変化に頑健なサプライチェーンマネジメントに関する研究:初年度は需要が不確実な一段階の在庫生産計画を扱ったが、凸関数最大化問題という、比較的求解が困難な問題への定式化となった。今年度は、課題を解決するために徹底した文献研究を行った。特にネットワーク型のサプライチェーン内で競合が発生するようなモデルに着目し、既存の研究と同じ仮定の下で、不確実性を考慮した場合の定式化を検討した。 3.不確実情報を含む均衡問題に対する研究:寡占状態における価格競争(ベルトラン競争)に注目し、各プレイヤーが他のプレイヤーの戦略を確実には分からない状況でマキシミン原理で戦略を選ぶような場合(ロバストベルトラン競争)には、各プレイヤーの考える問題は2次錐計画問題となることを示した。また、ロバストベルトラン均衡問題を2次錐相補性問題に再定式化した。また、ロバストな均衡問題についての文献研究の結果、交通ネットワークの均衡分析にも、同様の手法などが適用可能であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロバストポートフォリオ選択問題に対する数値解法の研究、不確実情報を含む均衡問題に対する研究についてはおおむね予定通りの進捗状況である。一方、需要の変化に頑健なサプライチェーンマネジメントに関する研究についてはモデルの再検討を行ったが、予定通りネットワーク型のモデルについての研究に着手している。また、研究成果の一部はいくつかの学会や研究集会などで発表するとともに、成果をまとめた論文は京都数理解析研究所の講究録に掲載予定である。以上より、研究は順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、それぞれの研究項目に関連する文献調査を行うとともに、前年度までの研究成果を踏まえて、内容を発展させていく。また、前年度に引き続き、研究成果を積極的に外部へ発信する。各項目ごとの方針は以下のとおりである。 1.ロバストポートフォリオ選択問題に対する数値解法の研究:前年度に取り扱ったモデルの改良を行うとともに、VaRやCVaRなどのモデルをベースとしたロバストフォートフォリオモデルの構築を検討する。 2.需要の変化に頑健なサプライチェーンマネジメントに関する研究:ネットワーク型のサプライチェーン内で競合が発生するようなモデルに着目し、需要や相手の戦略などに不確実性が含まれるようなモデルを考える。 3.不確実情報を含む均衡問題に対する研究:前年度に取り扱ったロバストベルトラン競争モデルの改良を考えるとともに、他のロバストな均衡問題に対しても研究を行う。特に、交通ネットワークにおいて、所要時間などに不確実性が含まれる場合の均衡分析を行う。
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