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2013 年度 実施状況報告書

抗菌薬による腎障害の分子機序の解明と予防法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25870245
研究種目

若手研究(B)

研究機関新潟大学

研究代表者

青木 信将  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60646933)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードメガリン / コリスチン / 薬剤性腎障害 / シラスタチン / ゲンタマイシン / バンコマイシン / 近位尿細管上皮細胞
研究概要

コリスチン及びバンコマイシンの腎臓における標的分子を明らかにし腎障害の機序を解明するとともに、その標的分子阻害物質を探索し薬剤性腎障害軽減を図ることが本研究の目的である。
平成25年度の研究実績としては、まず分子間結合解析を水晶発振子マイクロバランス法を用いて行った。その結果、コリスチン、バンコマイシンがメガリンリガンドであることが明らかとなった。さらにシラスタチンにおいてもメガリンとの結合が認められ、有力なメガリンリガンド拮抗物質候補と考えられた。ポリミキシンB(既知のメガリンリガンド)、ゲンタマイシン(既知のメガリンリガンド)、コリスチン、バンコマイシン、それぞれに対して、シラスタチンによりメガリンとの結合阻害がみられることも明らかとなっている。
続けてApoE-cre メガリンKOマウスを用いて、メガリンとコリスチンによる近位尿細管細胞障害の関連を解析したところ、コリスチン投与によりメガリン発現部位に一致して近位尿細管細胞障害が認められた。コリスチンによる腎障害がメガリン依存性であることが明確に示されたものと考える。
さらに、動物実験モデルでメガリンリガンド拮抗物質と考えられるシラスタチンの腎障害軽減効果を評価している。予備実験で行ったラットでのコリスチン腎障害モデルにおいて、シラスタチン投与による腎障害軽減作用が認められたため、C57BL/6を用いてバンコマイシン、ゲンタマイシンについても、シラスタチンの腎障害軽減作用を評価している。
これらの結果を受け、メガリンリガンド拮抗剤として特許出願中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

薬剤負荷による近位尿細管上皮細胞毒性評価について、ラット近位尿細管細胞由来IRPT細胞を用いて予備実験を進めたところ、バンコマイシンやコリスチンの毒性評価について適切な培養細胞系でない可能性が示唆されたため、MPROX細胞など細胞系を変更しての予備実験が必要となっている。in-vitroでの薬剤の近位尿細管細胞毒性評価について進捗に遅れがみられている一方で、腎特異的メガリンノックアウトマウスを用いて薬剤性腎障害とメガリンとの関連の解析に着手しており、in-vivoの実験系については順調な進捗といえる。水晶発振子マイクロバランス法を用いたメガリンリガンド拮抗薬の候補物質の探索においては、シラスタチンで前向きな結果が得られており、計画以上の進展と判断した。総じてわずかに遅れがみられると判断。

今後の研究の推進方策

本研究の推進方策に関しては、当初の計画通り研究計画調書に従う予定としている。全体として概ね順調な進捗といえるが、上述のようにin-vitroでの細胞障害実験において遅れが認められ、予備実験終了後培養細胞実験を引き続き行っていく方針である。
水晶発振子マイクロバランス法を用いたメガリン結合実験は順調であり、有望なメガリンリガンド拮抗物質と考えられるシラスタチンによる実験を進めるとともに、他の標的物質に対する実験を行っていく。
既にコリスチン腎障害モデルで進行している腎特異的メガリンノックアウトマウスを用いた実験については、ゲンタマイシン、バンコマイシンにおいてさらに同様の解析を行っていく。C57BL/6を用いてメガリンリガンド拮抗物質投与による薬剤性腎障害の軽減効果を、組織による形態変化・尿中尿細管障害マーカー・血清腎障害マーカーを解析することで評価していく。
メガリンリガンド拮抗候補物質により、コリスチン・ゲンタマイシン・バンコマイシンそれぞれの抗菌力に変化が生じないか、同時投与による抗菌薬の最小発育阻止濃度測定など行うことで評価していく予定。

次年度の研究費の使用計画

ラット由来近位尿細管上皮細胞を用いて、薬剤負荷による細胞障害実験を計画し予算計上していた。しかし、予備実験で同細胞による実験系ではコリスチン及びバンコマイシンの細胞障害評価の妥当性が得られず、最適な細胞系を選択するために予備実験を繰り返すこととなった。現在MPROXなど複数の細胞を用いて予備実験を繰り返している段階で、本実験に移れていないことが、当該助成金が生じた一因となっている。
また、成果発表等のための旅費等の予算計上も行っていたが、特許出願を行った関係で報告を自粛したため、それに伴う当該助成金が生じたものと思われる。
実験計画に大きな相違はないため、当初の予定通り実験を進めていく方針。薬剤負荷による近位尿細管上皮細胞毒性評価に関しては、細胞系を変更の上でSiRNAを用いてメガリンノックダウン細胞も使用し細胞毒性とメガリンの関連を検討する。またメガリンリガンド拮抗剤と考えられる標的物質を用いて、細胞毒性の軽減実験を行う。腎特異的メガリンノックアウトマウスを用いて抗菌薬による薬剤性腎障害とメガリンとの関連を解析する。またメガリンリガンド拮抗薬と考えられる標的物質の効果については、C57/B6を用いた腎障害マウスモデルにおいて、標的物質による腎障害軽減作用を分析する。メガリンリガンド拮抗物質の探索については、水晶発振子マイクロバランス法を用いた解析を継続する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 産業財産権 (1件)

  • [産業財産権] メガリンリガンド拮抗剤2014

    • 発明者名
      斎藤 亮彦
    • 権利者名
      青木信将
    • 産業財産権種類
      特許特願2014-011530
    • 産業財産権番号
      特願2014-011530
    • 出願年月日
      2014-01-24

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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